秋の合同礼拝
日時:2023年10月22日(日)10:30~
場所:日本キリスト教団代々木教会礼拝堂
説教の解説
◆励まされる聖書の言葉、というと、どの聖書の言葉を思い浮かべるでしょうか。読むと励まされる聖書の言葉はたくさんあります。本日の新約聖書の箇所もその一つだと思います。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネによる福音書16章33節)と弟子たちにイエスは語ります。
◆今日の聖書箇所の少し前のところでは、弟子たちがこの先、周囲からの憎しみにさらされることになると主イエスが予告しています。弟子たちが経験する「苦難」とは、具体的には、周囲の人々から「憎しみ」を向けられ、迫害される経験だと言えるでしょう。誰かを軽んじ傷つけたいという「憎しみ」の衝動の背後には、「ねたみ」が潜んでいる場合があります。
◆この「ねたみ」は、自己愛と深くかかわっています。自分が持ちたいと思っているものを自分は持っておらず、相手が持っているときに、自己愛は傷つけられます。そして、妬み、うらやみ、羨望の念が募ります。
◆1980年代に「アマデウス」という映画がありました。この映画では、まさにこのような、天才モーツァルトに対する、平凡な秀才サリエリのねたみを主題にしています。あまりにも羨望の念が高まると、自己愛の傷つきに堪えかねて、相手をダメにしたい、ひいては抹殺したい、そして相手の持っているものを自分のものにしたいという衝動に駆られるのです。
◆この映画から、イスカリオテのユダの、イエス・キリストへの愛と嫉妬・裏切りを連想する方もいらっしゃるかもしれません。太宰治は「駆込み訴え」という短い小説でユダのイエスへの愛憎と嫉妬の複雑な心境を見事に描き切りました。◆このような、「ねたみ」や「憎しみ」を超えて勝利する、キリストの「愛」、「神の愛」についてお話します。